kensaku

2014年12月31日水曜日

肛門科の救急



年末年始は病院も長期休診となり、外来患者さんの受け入れは救急体制となる。
肛門科で救急を受け付けている病院はほとんどないと思うが、急に痔が悪くなった患者さんにとっては一大事。
休み明けまで待つべきか、救急病院へ駆け込むべきなのか、『that is the question.

そこで今回は痔の症状に対して、どう判断すべきかの指針をお伝えしたいと思う。
症状だけで病気を確実に判断するのは不可能なので、最終的に心配だったら救急病院にかかっていただきたい。痔の治療は、一般外科でも行っている。

【出血】
肛門から出血する場合、痔核、裂肛が考えられる。痔核は血管が集まった組織なので、肛門から噴き出すように大量に出血することもある。裂肛の場合は比較的出血量が少ないが、それでもぽたぽた垂れるように出血することもある。

いずれにせよ、これらの出血は出続けることはないので、痔の坐薬や軟膏を使って、お酒や激辛料理をやめ、排便の時に強くいきまないように便秘の人は下剤を使うと効果的である。

腸から出血している場合は、出血が腸内にたまると刺激で下痢のように血が出るのが特徴である。出血が続いていれば、大量出血の可能性もあるので、至急病院にかかるべきである。

【痛みと腫れ】
痔核が腫れて痛い場合は、痔の坐薬や軟膏をつけ安静にし、入浴やカイロで温めると効果的である。この場合も酒と激辛は禁止。市販の鎮痛剤を服用するのもお勧めである。

肛門が化膿する肛門周囲膿瘍の場合は対応が違う。この場合の腫れは、なだらかな形の腫れで、しこりの本体は痔核の腫れよりも皮膚の深いところにあるのが特徴である。膿が多く溜まると熱が出ることもある。この場合は至急病院で切開により膿を出し、抗生物質と鎮痛剤の治療で嘘のように楽になる。

以上、代表的な肛門科救急疾患について解説しました。
大腸肛門病学会のホームページにDr.OKがかつて寄稿した【急におしりの腫れた方へ】という迷文があるので、写真を参考にしていただきたい。

2014年12月28日日曜日

【大腸ポリープと癌】


大腸内視鏡検査を行うと、けっこう頻繁に大腸ポリープを見つけることがあります。
大腸ポリープを病理組織検査すると大部分が『線種』と呼ばれる、粘液を分泌する腺細胞が腫瘍化したものです。

線種は良性腫瘍ですから、それ自体は心配ないのですが、大きさが1㎝を超えるくらいになると、腺癌の細胞が含まれるものが出てきます。その細胞が徐々に大きくなって、大腸癌として発症します。
1㎝程度のポリープでは何の症状もありませんから、大腸癌を早期で治療したければ、大腸内視鏡を受けて大腸ポリープを切除するしかありません。

癌年齢に達した方は、一度は大腸内視鏡を受けた方が良いと考えています。
その際、おなかが張る便の調子が悪い肛門から出血がある、などの何らかのおなかの症状があれば、健康保険を使って検査することができ、3割負担のカタで6000円程度です。